「会計大学院やめとけ」という言葉を耳にして不安になっている20代後半の方も多いのではないでしょうか。
特に28歳前後で経理職として働いている方は、公認会計士を目指して大学院進学を検討しがちですが、実は意外な落とし穴が待っています。
本記事では、会計大学院に通った人のリアルな後悔やデメリット、資格取得の難易度や学費などの実態を分かりやすくまとめました。
本当に資格は取れるのか?キャリアアップできるのか?進学するか迷っているあなたが、後悔しない選択をするためのヒントが詰まっています。
会計大学院やめとけの真実|28歳経理が知らないリアルな落とし穴とは?

「会計大学院に進学すれば、公認会計士資格への道がぐっと近づき、年収アップやキャリアアップが叶う」と考えていませんか?
たしかに会計大学院(専門職大学院・アカウンティングスクール)は、公認会計士を目指す20代後半の経理職にとって魅力的な選択肢です。しかし現実には、「会計大学院やめとけ」という声も多く聞こえてきます。
今回は、実際に通えばわかる「リアルな落とし穴」を具体的にお伝えします。
会計大学院やめとけと言われる3つの致命的デメリット
①想像以上に低い資格合格率のリアル
会計大学院に入学すると、公認会計士の資格取得がかなり近づくように思えますよね。しかし、実際はどうでしょうか?
金融庁の公表データによると、2023年の公認会計士試験合格率は全国平均でわずか約10%前後です。さらに、会計大学院修了者だけの合格率に絞っても、30%を超える大学院はほとんどなく、一般的なイメージほど合格のハードルは低くありません。(参照元:金融庁:公認会計士試験合格者の概要)
実際に、「資格を取れずに後悔した」という声も多く、働きながら資格を目指した方が効率が良かったという意見もあるほどです。
②学費の高さと収入の低下による経済的な落とし穴
また、多くの人が陥りがちなデメリットとして「経済面」の負担が挙げられます。
国立大学の会計大学院でも年間約80万円以上、私立の場合は年間150万円以上の学費が一般的です。これを2年間で換算すると300万円以上かかることになります。
28歳という年齢では、結婚やマイホーム購入を意識するタイミングも重なるため、この費用負担は決して軽くありません。
さらに、正社員を辞めて会計大学院に進学すると、在学中の収入が途絶えるか激減するため、資格取得に失敗したときには経済的なリスクが非常に大きくなります。
③卒業後の就職や転職が思うほど有利にならない現実
会計大学院修了後のキャリアアップを期待して入学を検討する方も多いでしょう。しかし、実際のところ、修了したからといって必ずしも転職や就職が有利になるわけではありません。
近年では企業側が資格取得者よりも「実務経験」を重視する傾向が強まっています。特に経理・財務の世界では、実務能力や経験年数が評価されやすいため、「2年間大学院に通ったことがキャリアの空白期間」と捉えられ、かえって転職で不利になるケースも少なくありません。
実際、求人サイトや転職エージェントのデータを見ても、「資格より実務経験がある即戦力人材を優先採用する企業」が増加しています。(参照元:マイナビ会計士)
会計大学院の公認会計士合格率のリアルな実態とは?
では、実際にどの程度の合格率なのかを詳しく見ていきましょう。
多くの会計大学院が公式サイトで発表している数字は、あくまで合格実績が良い年のデータを掲載する傾向があります。しかし、実際の合格率は大学ごとに大きく差があり、高いところでもせいぜい30%前後です。
さらに注意したいのは、会計大学院の修了だけで公認会計士試験が免除されるわけではないことです。大学院卒業者は短答式試験の一部が免除されるだけで、論文式試験にはしっかり合格する必要があります。この論文試験こそが最大の難関であり、働きながらの受験者もいるため、会計大学院に通ったからといって圧倒的に有利になるわけではありません。
また、28歳で経理経験を持つ方の場合、実務経験を生かして独学や専門学校で試験対策をした方が効率が良い場合もあります。資格取得を目指すならば、こうしたリアルな合格率と自分の状況を慎重に比較検討することが重要です。
以上のことから、会計大学院への進学を検討する28歳の経理職の方は、資格合格率の低さや学費の高さ、キャリア上のリスクをしっかり認識し、感情や焦りではなく「自分の人生設計にとって本当に最適な選択なのか」を冷静に考える必要があるでしょう。
会計大学院やめとけ論争|28歳経理が後悔しないための判断基準

会計大学院に進学するか迷っている28歳の経理職のあなたにとって、進学後のリスクを冷静に見極めておくことは大切です。
多くの人が会計大学院に入学するとき、「資格を取って人生を変えたい」「キャリアをもっと良くしたい」という理想を描いています。けれども、資格取得に何年もかかってしまったり、最終的には資格を諦めたりする人が少なくありません。
ここでは、会計大学院の進学を本気で考えるあなたが後悔しないために、「資格を諦めるタイミング」や「会計大学院とMBAとの違い」を詳しく解説します。
公認会計士は何年で諦める?失敗しない撤退タイミングとは
「会計大学院に通えば、公認会計士に確実になれる」と思ってしまうかもしれませんが、現実は決して甘くありません。
公認会計士試験に合格するまでの期間は、一般的に3年から5年程度が目安といわれています。金融庁の公式データによると、合格者の多くが受験開始から合格まで約3.5年を要しています(。
それ以上の期間をかけて合格できない場合、特に28歳という年齢では、人生設計やキャリア形成に大きな影響が出る可能性があります。
実際、30歳を超えて資格取得を断念した人のなかには、「早く撤退して、実務経験を積んでいれば良かった」と悔やむ声も多いのが現実です。
では、資格取得を諦めるべきタイミングはどのように判断すればいいでしょうか。
1つの目安として、短答式試験に3回挑戦しても合格できない、もしくは論文式試験に2回以上挑戦して合格できない場合には、自分にとって本当に資格取得が最適なのかを再検討すべきです。
経理の経験を持っているあなたなら、無理に資格にこだわらず、今のスキルを活かしてキャリアを再構築する方が賢明かもしれません。自分の年齢や将来の目標をふまえて、冷静に判断しましょう。
会計大学院とMBAの違いは?キャリアへの影響を徹底比較
また、会計大学院を検討する際に迷いやすいのが、「MBA(経営学修士)」との違いです。
会計大学院は、公認会計士を目指す人が主なターゲットで、「会計の専門知識」を深く身につけるための教育機関です。簿記や会計基準、監査論、税法などを実務レベルで習得することがメインになります。
一方、MBAは会計知識を含めた経営全般を学び、経営視点やマネジメント能力を養うプログラムです。つまり、会計だけでなくマーケティングや人材マネジメントなど、多角的な視点で経営を学びたい人向けといえます。
28歳で経理の経験を持つあなたの場合、MBAを取得することで、経理職から管理職や経営企画へのキャリアチェンジも視野に入れることができます。会計大学院とは違って、キャリアの幅を広げることに直結する資格ともいえるでしょう。
たとえば、日本企業でもMBA取得者の採用を積極的に行う企業が増えており、年収面での評価も高まっています。日経キャリアマガジンの調査によると、MBA取得者の転職後の年収は平均で20%~30%増加しているというデータもあります。
したがって、会計だけに特化して資格取得を目指すか、広い視野を持ってMBAを取ってキャリアの幅を広げるか、自分自身の将来設計を明確にしたうえで選ぶことが大切になります。
「会計大学院やめとけ」という論争は、実はあなた自身がどのようなキャリアを望んでいるか次第なのです。28歳という年齢は、人生を左右する選択をするのに重要な時期です。ぜひ自分自身の価値観やキャリアプランにあわせて、慎重に判断してください。
「会計大学院はやめとけ」というのは本当か?28歳経理が納得できるキャリアの築き方

「会計大学院に行かないとキャリアが伸びない」と焦っている28歳の経理職の方も多いのではないでしょうか?でも実は、資格取得以外にも経理職としてキャリアを充実させる方法はあります。
ここでは、会計大学院に進学せずにキャリアを築いていくための具体的な方法や、資格にこだわらない生き方を選んだ人たちのリアルな成功事例を紹介していきます。
会計大学院に頼らない!28歳経理ができるキャリアアップの道とは
28歳という年齢は、ちょうど「専門性を高めるのか、それとも管理職を目指すのか」というキャリアの岐路に立つタイミングです。実は、公認会計士や会計大学院だけがキャリアアップの手段ではありません。
具体的には、経理業務の中でも専門性が高く、需要が伸びている「管理会計」や「財務分析」のスキルを磨くことをおすすめします。
特に近年、企業経営の意思決定をサポートする管理会計の分野は注目を集めています。例えば、予算管理や業績分析、経営戦略の立案サポートといった分野のスキルを身につけることで、資格がなくても年収アップやポジションアップを実現することができます。
経済産業省の『DXレポート』によると、データ分析や経営数値を理解し、経営者に対して効果的な提言ができる人材が不足しており、管理会計のスキルを持つ経理人材は非常に高い評価を受ける傾向にあります(引用:経済産業省 DXレポート)。
また、「経理+α」のスキルを磨くことも有効です。具体的には、英語力を磨いてグローバル企業への転職を狙ったり、ITツールを使った経理業務のDX化を推進したりすることで、市場価値を大幅に上げることが可能です。
特に、IT分野のスキルを持つ経理人材はまだまだ少なく、デジタル化の推進役として企業内で重宝されやすいのが現実です。
会計大学院進学をやめて幸せになった人たちの成功事例
では実際に、会計大学院進学をやめて、キャリアを築いた人はどのような道を選んだのでしょうか?
例えば、実際に28歳で経理職だったAさんは、公認会計士を目指して会計大学院への進学を検討していましたが、最終的には進学をやめました。
その代わりに、管理会計の専門書やオンライン講座を活用して独学で学習を進め、職場で自ら積極的に予算管理や経営分析を担当。
その結果、わずか2年後には経営企画部への異動が決まり、30歳で年収が約150万円アップしたそうです。
また、別のBさんは、会計大学院の代わりにTOEICでスコア900点を取得。その英語力を活かして外資系企業の財務部門に転職しました。Bさんは転職後3年で年収が200万円以上増え、現在では管理職のポジションで活躍しています。
このように、会計大学院に進学しなくても、現在の経理スキルをベースに、専門性や+αのスキルを磨くことでキャリアを充実させることは十分可能です。
「資格に頼らないキャリア」はリスクも低く、すぐに成果を出しやすいという利点もあります。あなた自身が本当に納得できるキャリアとは何か、冷静に考えるきっかけにしてくださいね。
まとめ
「会計大学院やめとけ」という言葉があるように、会計大学院への進学には資格合格率の低さや高額な学費、キャリアの空白期間といった現実的な落とし穴があります。特に28歳前後で経理職の方にとって、公認会計士試験に合格できなかった場合のリスクは大きく、慎重な判断が必要です。
資格にこだわらなくても、管理会計や財務分析といったスキルを磨いたり、MBAを取得したりすることでキャリアアップを実現できます。大切なのは、資格取得自体ではなく、「自分が本当に望むキャリア」を明確にすることです。
焦って選択するのではなく、冷静に将来設計を見つめ直し、自分にとってベストな道を見極めていきましょう。